アナログな印刷加工にかける情熱。(Passion for analog printing technique.)
小玉 文
Aya Codama
アートディレクター/グラフィックデザイナー(art director/graphic designer)
1983年大阪生まれ。東京造形大学にてデザインを学び、AWATSUJI designに7年間勤務。2013年にデザイン事務所、株式会社BULLETを設立。特殊な紙や印刷加工を駆使した「手に触れて感じることのできるデザイン」とロックンロールをこよなく愛する36歳。東京造形大学にて教鞭をとり、パッケージデザインの魅力を伝えている。
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私は毎年、年賀状を作るのに凝っています。これは酉年の「卵」のカードです。実は卵の殻をむくことができるようになっていて、左の状態から表皮をむくと、右のようになります。普段の仕事ではできないような高価な印刷や加工を盛り込んで自分が作りたいものを作るというのが、私にとってのニューイヤーカードです。(笑)内側は、黄色のメタリックなグラデーション箔押しの上に、オレンジのグラデーション箔押しを重ねています。年賀状というのは、作品を勝手に送りつけても嫌がられない良い機会だと考えており(笑)手に取って「面白いじゃん!」と感じてくれた方から、面白い仕事に繋がっていくこともあります。
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これは日本酒のパッケージデザインで、錦鯉を模したデザインです。色々なメディアで取り上げていただき、「手土産にしました」という人もたくさんいて、そこから生まれたコミュニケーションがたくさんあったと思います。「これ、ちょっと変わっていて面白いな」と思われるデザインをすることには、やっぱり意味があるな、そこから始まるものがあるなと体感した仕事でした。実は瓶の首のえぐれている部分に印刷をすることが難しく、それができる会社を探すのに、2年ほどかかりました。いろいろな会社を巡り巡って、最終的に、とある下町の工場のおやっさんが、「俺に任しとけ!」と、引き受けてくれました。
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これは電子回路をモチーフにしたデザインのマスキングテープです。硬くてフラットなはずの電子基板が、柔らかくテープ状に巻かれているというギャップが面白いのでは……と考えてデザインしました。予想以上に電子基板に「萌え」を感じてくれる人がたくさんいて、ネット上でちょっとした祭りのような状態になりました。特に普段マスキングテープを買わないような年配の男性が、グッときていましたね。(笑)この商品は1カ月だけ期間限定の完全受注生産で。WEBサイトから購入時に「一言熱いメッセージを送ってください」としてみたら、「自分は普段、技術家庭の先生をしている者ですが、これをハンダごての持ち手の部分に貼ります!」とか、「自分は普段トラックを運転してるトラック野郎なんですけども、サイドミラーの所にこのテープ貼ります!」などなど、女子がマスキングテープを使うのとは全く違う用途を想定して買ってくれる方がたくさんいて、嬉しかったですね。