ENERGY

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自然のエネルギー循環の一部としての建築や暮らしとはどのようなものなのか。

末光 弘和

Hirokazu Suemitsu

建築家 九州大学准教授

1976年愛媛県松山市生まれ。1999年東京大学工学部建築学科卒業。2001年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2001〜06年伊東豊雄建築設計事務所勤務。2007年、末光陽子とともにSUEP.を設立し、環境やエネルギーをテーマとして国内外で設計活動。風や熱などのシミュレーション技術を駆使し、自然と建築が共生する新しい有機的建築のデザインを手がけている。現在、株式会社SUEP.主宰、九州大学准教授。

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これは日本橋の三越本店のデザインコンペ案で、残念ながら負けちゃったんですけれども。民間の商業施設って、基本的に自社の利益だけのためにビジネスをやっているんですが、ここでは屋上にこういう大きな池というか、水盤を提案したんですね。実は、これが建物の前に流れる日本橋川の水質浄化の装置になっています。この日本橋川というのは、昔は綺麗だったらしいのですが、時代と共にどんどん汚れていってしまいました。そこで、この屋上の水盤で水質浄化をさせて、その日本橋川もきれいにする。そうすると結果、建物の周辺のエリアがきれいになり、商売を繁盛させられるという考え方で提案しました。そういうものが何かこれからの商売の新しい形や、建築の新しい形につながるのかなと思います。

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これは那須で今つくっている発電所兼宿泊施設です。青い部分がソーラーパネルで、大きな屋根の下に宿泊棟が建っていて、森の木を切らずに造っています。メガソーラーって、いま結構あちこちで造って景観破壊だとか言われているんですね。ここでは、ソーラーパネルは太陽光で発電するように建物の上にあって大きく広がっています。その下にいる人というのは、ここは多雪地域なのですが、大きな庇の下でテラスがあったり、そこで日がよけられたり雪をよけられたりしながら、その庇下を楽しむと。うまいことその自然と共生することで、人の活動することとソーラーパネルで発電するということが同時に起きているようなことを考えていて、その相互依存性みたいなことがちょっと未来とつながるかなと思ったりしています。

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これはコーポラティブハウスというのを学芸大学でつくっていまして、今工事中ですけれども。普通、集合住宅というのは売られているものを借りたり買ったりするのですが、これは違って10住戸あるんです。10人が組合をつくって、それで一緒に建てるというのがコーポラティブハウスですね。緑がいっぱい生えていると思うんですけれども、ここでは「みんなで一緒に緑を育てる」ということをテーマにこういう丘状のコーポラティブを造っています。ただ樹木と一緒に住むということは太陽を制御したりとか緑を感じたりという豊かさがあるんですけれども、そういうことに参加するということが非常に大事かなと思っています。与えられたり何か自動で得られるのではなく、自分が参加することで、もっと意識化されたり、地域とか生態系とのつながりも考えるようになって暮らすのかなと思って設計しています。