東京のような都市の文脈では、エネルギーの可能性が非常に多くあります。

キングモンクット工科大学の学生

Students from KMUTT

キングモンクット工科大学 建築デザイン学部の学生

この学生たちは、タイ、キングモンクット工科大学(KMUTT)の建築デザイン学部(SoA+D)に所属。第5回ENERGY DESIGN HUBのゲスト参加であるエカワット先生の研究室で建築設計を学び、東京でのワークショップで来日。2019年度、エカワット研究室のテーマは『Energy × 「Urban Intervention」』。都市へのエネルギー的関与を促す刺激剤を考察しデザインを試みる。東京でのワークショップ期間中に合わせて、本イベント(第5回EDH)に参加。

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Urban Intervention-1

この写真は、ニュートンゆりかごです。そのままの状態ですと「重力」に支配されていますが、一度スイングを始めると、そこに新たなエネルギーが生まれます。複数の球はそのエネルギーの伝達を結束しながら、左右に連続して伝えますが、やがてそれは色々な原因のエネルギーロスにより停止します。このエネルギーロスがエネルギーの境界線だとも言えます。でも宇宙空間だと、エネルギーロスの要因がほとんどありません。宇宙空間ではエネルギーの境界線がないのかもしれません。

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Urban Intervention-2

この写真を見て感じたことは、例えば落ちる水滴のようにエネルギーがある方向から来た時、水面はその衝突の反応で、エネルギーの境界線としての水柱や飛沫などを形成します。エネルギーそのものがその境界線としての形をつくっています。また同時に水面下でも何かが起きています。つまり水滴の落下から見られる様々なエネルギーの存在やその変化が、この写真のように形として観察できます。エネルギーの衝突は互いを干渉し変化します。エネルギーはつまり境界線そのものとして干渉を繰り返しながら存在するものかもしれません。

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Urban Intervention-3

これは、最近デザイン系のメディアで見つけたおもしろい一枚です。建築的には「壁」は空間をわけるものです。でもこの写真にみられる風車でつくられた壁は、いろいろな意味を持つものだと感じました。風で発電するという機能をもちながら、空間をこちら側と向こう側に分ける存在感があります。エネルギーのもとになる風はどちらか一方向からやってきて、ここを通過し電気というエネルギーを残していきます。しかし同時にこの風車壁はこの地域を分断する大きな存在でもあるのです。

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Urban Intervention-4

この写真は、大学のデザイン演習で制作した時の画像です。ステージの上で演者を演出する光の仕掛けをデザインしました。これは、エネルギーが時にそれ自体が境界になることを示しています。演者の動きや存在のエネルギーであったり、包んでいる光そのものがエネルギーの象徴であったり。これらの幾つかのエネルギーは、床にその境界線として円が描かれていることがわかります。私はエネルギー自体は境界線を持って包むような演出が出来ると感じています。またその境界線は、見たり触れたりすることができるのかもしれません。

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Urban Intervention-5

エネルギーについて考えたとき、私は最初に電気とその流れをイメージしました。しかしその電気の「流れ」のような行いは、私たち人間もしているのではないでしょうか。この写真は公園の中に設計された道がありますが、人はその通りに歩いていないことを示しています。エネルギーは抵抗の少ない方向へ流れていくように、人もそのように振舞っています。私も建築デザインを学んでいますが、建物や道を設計することはできますが、利用者の心までは設計できません。この写真はエネルギーのこと、そして私のこれからの建築のことの色々なことを考えさせられる一枚です。

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Urban Intervention-6

これは電気が流れるフェンスです。これが、今回のトークイベントのテーマ「ENERGY X boundary」を聞いた時に、最初に思い浮かんだイメージです。これらの境界線はエネルギーで空間を分けています。このエネルギーの存在によって人々はこの境界線を簡単に乗り越えることができないのです。これによって人々を囲ったり、外からの侵入を防いだりすることができるのです。これは建築という私が勉強しているデザイン分野ではとても興味深いトピックです。このように、エネルギー、建築、空間の分割などが一枚の写真で表されているこの写真はとてもシンボリックです。