ENERGY

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デザインはもっと世界の重要問題に密着し貢献できる領域だ。

オオニシ タクヤ

Takuya Onishi

ENERGY MEET 共同代表/ 慶應義塾大学環境情報学部准教授/ Energy Design Hub Organizer

1994年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、Architectural Association School of Architecture(英)に留学。2000年同校首席で卒業、英国王立建築家協会よりプレジデンツメダル・修士課程最優秀賞受賞。2001年軽量・極限建築のデザインに特化したLAUNCHPAD05を立上げ、タイに移住。 キングモンクット工科大学、チュラロンコーン大学で講師やデザイン・ディレクターを務める。2012年ENERGY MEETを蘆田暢人と共同設立。2014年慶應義塾大学准教授に就任、オオニシタクヤ研究室を立上げエネルギーデザインの研究を進めている。

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Design-1

これは国際コンペにエントリーした作品です。これは藻です。火星に持って行って、藻を光合成させオーガニック酸素を作るためのユニットです。一つ一つが小さめのユニットで、担いで運ぶことができて、地面に刺して設置します。船外活動でフレッシュな酸素が欲しいと思った時、緑くさくも酸素がたっぷりの空気を吸うことが出来るんです。この本数が増えて来た時に、食料だったりバイオディーゼルだったり、より大きなエコシステムで使い方ができるんじゃないかという希望で、奥のほうに見える大きなドームと、森のように群生するシステムを描いてみました。

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Design-2

これは、僕のエネルギーデザインの動機の一つです。地球上の30%が森、33%が砂漠、32%が農地になっています。この農地の大きさに僕は驚きました。都市というのは0.5%です。右の白い部分のみが地球に残された土地なんです。地球には76億人いますが、その人類が100億人に到達する時、我々は食料の生産量を170%から200%にあげないといけません。では農地を増やせと言っても、もう増やせない。砂漠にもいけないし、森を切り開くわけにもいけない。じゃあどうするのかって言ったら、様々な取り組みが挙げられますが、その一つとして生産効率をあげるしかないわけです。その効率を上げるために、環境負荷の大きな牛さんを育てるのではなく、昆虫を視野に入れることで、食糧危機を救えるんじゃないかなと。<コングの音カンカーン>

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Design-3

これはエネルギーアトラスというプロジェクトです。大学の研究室で行っているもので、ENERGY DESIGN HUBをサポートに来てくれている学生たちが多く関わってくれています。これはエネルギーデザインの歴史を編纂しようという試みで、情報量の膨大な、ビッグチャレンジなプロジェクトです。時間軸は同心円状で表現していますので、水滴の波紋のように外周に近づくほど現在に近く、中心に行くほど昔に遡ります。エネルギーは多くの領域を関連していますので、360度方向に様々な関連事項は時系列に。<コングの音カンカーン>

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Design-4

エネルギーデザインという文脈で、コオロギ養殖の研究をしています。なぜコオロギかというと、今後の人口増加を考えると、牛による動物性タンパク質の生産に投入するエネルギー量が膨大であるため、昆虫食もオプションに入れなくてはならないという現実がやってくるからです。そのときに、単位面積当たり最大量の動物性タンパク質を生産するために、コオロギの立体ジャングルジムを3Dプリンターで作って、その中でコオロギを放ち、どれだけの密度で、どれだけの高さの高層ビルを建てれば、どれだけ効率良く動物性タンパク質が収穫できるのかというのを日々実験しています。オオニシ研では、いろいろな世代を超えて、何世代も引き継いてもらっているプロジェクトです。足掛け4年かけて、ここまでこぎ着けました。

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Design-5

これはアメリカのケースなんですが、左側はエネルギー源で、右側はそれらが何に使われているかを表したフローチャートです。例えば上のソーラー、原子力、水力、風力、そして地熱、天然ガスというのも大半が電気、発電に使われるんですね。発電って、送電している間のロスが大きく、この右にあるRejected energyというのは、使われなかったエネルギー、つまりロスした分ですね。これでほぼ3分の2はロスしているってことになるんですね。面白いのはこの下、ガソリンなんですけれども、これはもう、ほぼ全部Transportation、つまり車などに使われるんですけれども、これもものすごいロスがあるんですね。エンジン車は比較的効率よく進むんですけども、Wheelの回転に使われているエネルギー量は実はごくわずかで、、、<コングの音カンカーン>