ENERGY

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「地球と遊ぶ」アートとは?(What is an art that “plays with Earth”?)

木村崇人

Takahito Kimura

アーティスト(Artist)

愛知県生まれ。東京藝術大学大学院博士過程修了。「地球と遊ぶ」をテーマにした作品制作や国内外でのワークショップを多数。世界の共通言語である「地球」や「自然」の力をエネルギーと捉え、誰もが知識として「知っている」と思っていることと実際の科学現象と認識のズレを視覚化、体験する作品を展開している。「越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」、「あいちトリエンナーレ」などの大型美術展への参加他、個展、グループ展、多数。

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Art-2

これは、「木もれ陽プロジェクト」という作品で、もしも太陽が星の形をしていたらという作品です。皆さん、こもれびの形ってどんな形をしているか知っていますか。まん丸な形をしています。それは葉っぱが作り出した小さな隙間が天然のレンズに変わって、太陽の形を反転して落としているんです。だから、日食のときは、こもれびは三日月形になります。僕の作品は、太陽が沈んでから、人工の太陽、星形のライトを森の上に点灯するんです。そうすると、森一面に星の木漏れ陽ができるんです。上は、それを、星捕り網という道具を使って、網に白いスクリーンが張ってありますが、それで森に入っていくと、小さな星から大きな星までが捕まえられるという、目に見えない自然の力の中に自分たちが存在しているということを体感する作品です。

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Art-3

これは「出前調理人」という作品です。100ボルト電撃調理法という、食材に直接電流を流して調理するという、大変危険な調理方法をやっています。これでフルコースをやるんですが、ソーセージの両端をアルミホイルでくるんで、並列に並べます。最後にコンセントに挿すと、わずか数分、2分ぐらいで、数十本の、70本ぐらいのソーセージが焼けます。これを食べることで、みんなが味覚を通して、また思考を通して、エネルギーがどんどん変化していくというような作品になっています。前菜からデザート、ケーキ、ステーキ、エスプレッソ、いろんなタイプのものがあります。今年は台湾でやります。もし機会があったら来てください。

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Art-1

これは、[カモメの駐車場]という作品で、鳥はそもそも風の方向に向いて止まるという習性があるんです。奥の防波堤を見ると、ちょっと小さくて分からないのですが、本物が同じように、同じ間合いで、風のほうに止まるんです。これは自然の鳥が、自然に学んだ、いかに風の方向に向いて止まれば、体が休まるということなのです。風見鶏というのは人間が作ったものですよね。それは自然を見て、観察してできたものです。その自然とできたものと、人間が持った自然との関係を、この風見鶏の作品を通して感じてもらえばいいなという、見えない風の力を利用した作品です。