ENERGY DESIGN とはアクターを取り巻くネットワークが連鎖していく接続のデザイン?

田井中 慎
Shin Tainaka
プランナー 株式会社4CYCLE 代表取締役 / Energy Design Hub Organizer
広告会社勤務後、2008年4CYCLEを設立。広告コミュニケーションの戦略立案・クリエイティブ制作の他、商品・サービス開発、地域ブランディングまで幅広くコミュニケーションデザインの業務を行う。

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これはカンボジアの道端です。皆さん、ペットボトルに入っているのは何だと思いますか? ガソリンです。わかる方にはすぐガゾリンだと分かりますが、日本人から見ると、ガゾリンが道端でペットボトルに入って売られているのは、変でしかないんですね。僕は、これはものすごく賢いシステムなのではないかと思いました。ガソリンスタンドを建物として作るのではなく、ペットボトルに入れて適材適所に配置しているんです。カンボジアの人たちは、新しいガソリンスタンドを開発、あるいは発明したとこれを見て思ったんです。エネルギーというのは、どこかに行かないと手に入らないと思っているのは、日本人的な発想なのじゃないかと。必要なところに必要な分を置けばいいじゃんというこの発想は、ものすごく斬新だと思います。

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「エナジーXマネー」、お金です。モンゴルではパソコンを回しながらお金を作っています。ビットコインです。ビットコインは非常に面白くて、ものすごい電力を使いパソコンで発掘してお金をつくるんです。つまり、今までは金とか貴重なものがお金の兌換として流通してきたのですが、これからはエネルギーがお金になる時代かな、と。モンゴルの山奥でこんなにいっぱい電力が消費されているということが既に不思議です。さらに、そこから新しい経済が生まれているというのは、実はものすごいエネルギーデザインで、エネルギーが新しい社会を作っているという良い証明ですよね。

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宮城県の南三陸の写真です。2011年3月11日の東日本大震災から僕はココに通って、田んぼを作り直しました。テーマは「エナジーX時間」です。この田んぼは地震と津波のエネルギーによって私たちはひどい災害を受けました。エネルギーというと人間がコントロールするものだとつい思ってしまいますが、人はむしろエネルギーに支配されているのではないかと感じています。
この写真は、5年後の2016年の8月3日にとった写真です。5年が経ち、今度は自然のエネルギーによって再生した田んぼを見るとエネルギーは、大きな時間でエネルギーが循環する中に人が位置づけられていること、人間もエネルギーを構成する要素の一つだと再認識するのです。

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仕事で何度も行ったカンボジアでは道路事情が悪く、都市から都市への移動を距離ではなく、時間で表していました。移動にはA地点からB地点へ動く空間的な移動に加えて、A地点からB地点までの等距離であっても1日かけて歩いて動く、あるいは車で動く等、時間的な移動もありますね。ところでドラえもんの道具で僕が一番好きなのは、どこでもドアです。ドアの向こうが何処かに繋がっていて、好きな時に移動できる。移動の自由は、空間と時間の制約を軽やかに超えていく、こころに自由というエナジーを与えてくれると思います。

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ブルース・チャトウィンという作家が好きです。「ソングライン」は巨岩や大樹などの道標を歌詞にのせて歌い継ぐことでオーストラリアの何もない大地を巡り歩く原住民アボリジニのSONG LINE(歌の道)を描いた作品です。チャトウィンは移動を生涯のテーマにした作家ですが、「どうして僕はこんなところに」という彼の思いは、僕にも共通します。移動すること、動き回ることは物理的にはエネルギーを消費する活動ですが、同時に我々が生きていく上でのエナジーをチャージすることでもあると思います。人は「移動する生きもの」、ホモ・モビリタスと言えるのではないでしょうか。

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岩手で羊を飼うモンゴル人に会いました。モンゴルのゲルは、住みながら移動していくので、どこでも住処に出来る、道具としての住まいですね。羊毛で出来ており、羊の牧草を求めて移動し続けます。電気もガスも無い、オフグリッドを前提とした暮らし。ちなみにこのゲルの持ち主、ムンフバットさんは立派な戸建てに住んでました。
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